線維筋痛症

線維筋痛症とは?

線維筋痛症(flbromyalgia syndrome;FMS)は40~50歳前後の女性に多く(約85~90%は女性)、全身の激しい疼痛(飛び上がるほどの痛みを強く訴えます。
時に皮膚に触れるだけでも痛いアロデニア症状も認める場合があります。
欧米では関節外リウマチ疾患のなかの最も高頻度にみられる疾患(リウマチ専門クリニックの14~15%)とされていますが、先進国の中で線維筋痛症が最も認知されていない国は日本です。しかし最近になり線維筋痛症に対する理解が広まりつつあります。

原因

現在のところ原因は不明です。
事故、外科手術、膠原病などの自己免疫疾患、脊椎関節炎、歯科矯正治療、顎関節症、脳梗塞・クモ膜下出血などの脳血管障害、ガンによる疼痛、PTSD、妊娠・出産、ウイルス感染、感染症、化学物質過敏症、子宮内膜症、風邪、薬物中毒、肉体的又は精神的ストレスなど非常に多様な「痛み」がきっかけで発症しているのではないかと言われています。
発端となった疼痛レベルも様々で軽い捻挫程度の痛みでも全身へと激痛が広がり悪化する場合があります。
今、器質的な原因として『グリア細胞』が有力視されています。痛みを感知するニューロンを過敏にしているのは、グリア細胞と呼ばれる脊髄や脳にある別の細胞の働きによる事が分かっています。
グリア細胞は脳へ疼痛シグナルを送るDRGと脊椎ニューロンを敏感にする様々な分子を放出しています。
グリア細胞はニューロンを監視し活動を促進させる重要な役割を担っており、同時にその活発化は神経の異常な過敏状態を長引かせ悪循環を起こす原因となっています。

症状

全身や広範囲が痛み、またある部分だけが痛むことがあります。
その痛みは軽度のものから激痛まであり、耐え難い痛みであることが多いです。痛みの部位が移動したり、天候によって痛みの強さが変わったりすることもあります。
痛みが強いと日常生活に支障をきたすことが多く、重症化すると、軽微の刺激(爪や髪への刺激、温度・湿度の変化、音など)で激痛がはしり、自力での生活は困難になります(アロデニア)。
随伴症状として、こわばり感、倦怠感、疲労感、睡眠障害、抑うつ、自律神経失調、頭痛、過敏性腸炎、微熱、ドライアイ、記憶障害、集中力欠如、レストレスレッグス症候群などが伴う事もあり、症状は個人差があります。

診断

図_女性明確な診断基準はなく、現段階では1990年に発表されたアメリカリウマチ学会の分類基準を参考にしています。
全身に18ヵ所の圧痛点があり、4kgの力で押し11箇所以上痛く、また広範囲の痛みが3ヶ月続いていることが条件です。よって他の病気があっても条件さえみたせば線維筋痛症と診断されます。
また11箇所以上でなくても専門医の判断で線維筋痛症と診断されることもあります。
また、検査をしても異常がないのが特徴です。
血液、レントゲン、CRPという炎症反応、筋電図、筋肉の酵素、CT、MRIを検査しても異常がなく、線維筋痛症と診断できる検査がありません。

治療

残念なことにだれにでも効くという特効薬はまだありません。
当院での内服治療はまずノイロトロピンから開始し効果がない場合は抗うつ剤を併用し症状が和らぐように処方を工夫をしております。
内服治療が中心となりますが痛みが激しい場合は神経ブロックを併用します。当然、生活環境の改善のアドバイス、精神的なサポートをさせていただきます。
また、マイヤーズカクテル点滴も効果があります。アメリカの医学論文に8例ですが線維筋痛症の患者さまに対して有効であったという報告があります。
当院でもマイヤーズカクテル点滴を施行しておりますがやはり効果的です。
最近、原因としてグリア細胞が原因とされていますが、間葉系幹細胞はグリア細胞に分化していくことがわかっており有効な治療法ではないかと考えられております。

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